FACと和平合意 要点

10月の頭に国民投票により否決されたコロンビア政府とFARCの和平合意ですが、11月30日に修正文書が議会の承認を得て、正式に内戦が終了したとのことです。

まず思ったのが、否決されてからたった2ヶ月で合意って早すぎやしないかってことです。以前、合意に至るまでは約4年かかりました(4ヶ月前に引っ越したワタシの家なんかは、残り2週間で建て替えが完成するといわれていたものの結局まだ建て替え中)。このカラクリは今回は国民投票ではなく、議会での承認というプロセスを経たためのようです。スピード重視(12月10日にサントス大統領はノーベル平和賞の授賞式に参加予定、という結構大事な背景もあった様子)なのはある程度理解できますが、前回あそこまで国民を巻き込んだもののダメだったから内輪で決めた、という印象は正直拭えません。個人的にはテレビも見てなかったので携帯で当ニュースを読んで正直これが前回の国民投票と同じ意味を持つものだと理解するまで時間かかりました。誰もそんな話はしていなかったし(恐らくこれは友達が少ないだけですが)。当然ウリベ元大統領含む対ゲリラ強硬派は合意への不満から採決を欠席、「変更案を精査する時間すら与えられていない」「反民主主義だ」と騒ぐわけですが、反民主主義に関しては現在の議会の多数を占めるサントス政権は14百万人の支持を得ているといわれており、10月の国民投票の合計投票数より2百万人も多いため、議会=国民の意思と解釈できるという見方もあります。個人的にこのスピード感は本当に凄いことだと思いますし、何より和平合意は大変喜ばしいことです。

そしてもう一つ、何が修正されたのか。日経新聞には、新たな和平合意は当初案から50カ所以上が改められた、とありますが他の記事を読む限りあまり大きな修正はないという印象を受けます。ポイントだけ書きます。

1.罪を認め捜査に協力的であれば特別法廷(Special Jurisdiction)を通じて減免されるとされるが、この点は維持。対ゲリラ強硬派は通常の法廷でFARCの戦闘員を裁くことを望んでいたが、政府は交渉上、現実的な解決策を優先したか。

2.FARCの政界進出、10議席確保、変更なし。これも反対派の論ずる点だが、サントス大統領はあくまでFARCの武装解除を優先。

3.修正案ではFARCの資産は没収され、被害者への補償に充てられる。麻薬密売で活動資金を得ていたFARCだが、個人の資産への横領等が発覚した場合は通常の法廷で裁かれることになる。

4.和平合意297ページ全てをConstitution(憲法?)に組み込む予定だったが、修正案では人権と国際人道法に関する合意内容のみが加わることに変更。これは将来政権が交代した時にFARCが法的に守られることを担保するものであり、修正案でも満足しているようす。

とまあざっくりですが、他に重要な点を見過ごしていたら、もしくはワタシが勘違いしている点がありましたらお手数ではありますがご連絡頂けると幸いです。宜しくお願いします。

ちなみに、FARCとの内戦が終了しただけであり、依然として*国民解放軍(ELN)や**新興非合法武装組織絡みの問題は残っていますのでコロンビアを旅行される際はくれぐれもご注意ください。脅かすつもりではありませんが認識しておいて越したことはないかと思います。このあたりの反政府組織は改めて書きます。

参考:
コロンビア新和平が成立 強硬派は採決欠席(日経)
和平をコロンビアの発展に(日経)
Why did a new Colombian peace agreement come so quickly after the referendum ‘no’ vote?(theconversation)
Colombia Has a New Peace Deal, But Challenges Remain(Insight Crime)
Colombia to rush approval of new peace deal, pending court decision(Reuters)
What’s so new about Colombia’s new peace deal?(csmonitor)

 

下記説明は外務省海外安全ホームページより引用

国民解放軍(ELN) 
 ELNは、親キューバの左翼系反政府武装組織です。戦力、資金力共にFARCを下回りますが、誘拐、治安当局に対する攻撃、都市部における爆弾事件、エネルギー関連施設やインフラ施設の破壊等、非合法活動を繰り返しており、主にベネズエラとの国境付近等において活動が見られます。2015年7月には、ボゴタ市内での連続爆弾事件への関与が指摘されたほか、同年10月には、選挙の投票用紙を運搬中の国軍兵士及び警察官に対する殺害事件などを起こしています。また、2016年3月から政府との和平交渉が開始されていますが、交渉の状況によってはテロの活動を活発化させる可能性もあるので、引き続き十分注意が必要です。

** 新興非合法武装組織(BACRIM:Bandas Criminales)
 パラミリタリーには和平プロセスに参加しなかったグループがあり、また、既に武装放棄したグループの構成員のうち、社会復帰できなかったメンバーによる新たな犯罪組織も結成されています。これらは、引き続き殺人、誘拐、恐喝等の違法行為を行っており、主にアンティオキア県、バジェ・デル・カウカ県、サンタンデール県等において活動が見られます。

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